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2014.09.10

Web戦略の策定にも役立つ「カスタマージャーニーマップ」

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多種多様の商品とサービスで溢れている現在、あらゆる業界においてコモディティ化が進行しています。他社との差別化が難しくなっている中、市場は商品・サービスの機能や使いやすさなどの「ユーザビリティ」だけでなく、利用によって得られる楽しさや感動といった「エクスペリエンス(体験)」を価値として評価する傾向にあります。より良いユーザエクスペリエンス(UX)/カスタマーエクスペリエンス(CX)を創出するためには、日常生活の流れの中で消費者の行動と心理を捉える必要があります。そこで力を発揮してくれるツールとして、「カスタマージャーニーマップ」が挙げられます。

「カスタマージャーニーマップ」とは?

SNSの発達、スマートデバイスの普及、更にモノのインターネット(デジタルカメラやテレビなど様々なモノがインターネットに接続したり相互に通信したりすること)といった環境の変化により、企業と顧客の接点(タッチポイント)が増え、顧客の購買行動と意思決定プロセスがますます複雑になっています。オムニチャネル時代の今、シームレスな顧客体験の提供で競争優位性を獲得するには、複数のタッチポイントを跨がる横断的な視点からサービス全体をデザインすることが求められます。

サービスをデザインする際に、「inside-out」と「outside-in」という2つの視点があります。「inside-out」はサービス提供側の視点で、サービスを提供する流れを示す「サービスブループリント」(Service Blueprint)という手法が代表的です。それに対し、「outside-in」は顧客側の視点に立ち、どのタッチポイントでどんな感情を抱きながら体験していくかという一連のプロセスを「旅」に例えて図式化にするものが、「カスタマージャーニーマップ」(Customer Journey Map)です。

カスタマージャーニーマップはどうやって作るのか?

カスタマージャーニーマップには標準的なテンプレートが存在せず、業界やサービスの性質などによって表現方法は多様ですが、本コラムでは、 ①目的・対象 ②タッチポイント ③顧客行動 ④思考・感情 ⑤課題・改善点 を基本的な構成要素としてご参考に提示しています。

カスタマージャーニーマップを説明するときによく例として挙げられるのは、サンフランシスコのコンサルティング会社Adaptive Pathが鉄道チケット販売会社Rail Europeのために作った顧客体験を可視化した下記のものです。

出処:The Anatomy of an Experience Map | Adaptive path
出処:The Anatomy of an Experience Map | Adaptive path

この事例では「エクスペリエンスマップ」となっていますが、一般意味でのカスタマージャーニーマップより場面などを細かく定義しているもので、本質は同じと考えていただければと思います。それでは、例と対照しながら見て行きましょう。

① 目的・対象 ―― 「Guiding Principles」

UX/CXをデザインするために、商品・サービスを利用する「最も代表的な顧客像」として「ペルソナ」を設定し、行動過程の仮説を検証します。カスタマージャーニーマップを作成する際も同様で、対象となるターゲット像、またその目的やプロセスの範囲などを明確に指定します。これはカスタマージャーニーマップ作成における視点のようなもので、性質の異なるターゲット層がある場合にマップを複数枚作成する必要があります。

② タッチポイント ―― 「RAIL EUROPE」「DOING」

プロセスの段階によって性質の異なるタッチポイントはたくさん存在します。これらのタッチポイントをフェーズごとにマップ上で整理・提示します。

③ 顧客行動 ―― 「DOING」

この項目で重要なのは、調査データに基づいた「事実」を記述することです。カスタマージャーニーマップの作成には、臆測ではなく、Webサイトのアクセス解析を始め、ユーザー行動観察調査やインタビュー、アンケート、現場に寄せられた情報といった多様な手段で収集したデータから読み取った行動をパターン化し、図式で分かりやすく表現するのが一般的です。

④ 思考・感情 ―― 「THINKING」・「FEELING」

カスタマージャーニーマップの一つの特徴としては、定量的なデータだけでなく、定性的なデータも反映されるところにあります。これらの情報からユーザーのインサイトを把握でき、UX/CXデザインにおいて非常に参考になります。

⑤ 課題・改善点 ―― 「Opportuneties」

マップを作ること自体が目的にならないように大きな意味を持つ項目です。行動や心理から何が見えてくるのか、タッチポイントはそれぞれどう機能しているのか、どこに問題があるのかなどの発見と課題を洗い出し、改善の示唆を記入します。

完璧に当てはまるわけではありませんが、カスタマージャーニーマップに対してある程度イメージができたのではないでしょうか。ここで基本構成をふまえ、改めてマップの作り方を整理すると、

調査・データ収集 → 情報整理・マッピング → 課題と改善点の検討

というのが概ねの流れです。

カスタマージャーニーマップを使って、何ができるのか?

Webサイトの改善と他チャネルの連携、新サービス・新商品の開発、効果的な戦略立案の策定など、様々な場面においてカスタマージャーニーマップが活用されており、このツールならではのメリットがたくさんあります。

横断的な広い視点が得られ、今までにない施策や発想が生まれる

施策立案をする際に、Web担当者ならWebサイトに、商品開発者なら技術・機能に視線が向きがちのように、専門知識や職務範囲などの制約により視野が狭くなってしまうことがあります。また、タッチポイントやチャネルごとに管理部門が違うといった組織の縦割りにより、部署を横断したコミュニケーションが難しく、顧客体験の全体像を把握しきれない場面も多々あります。カスタマージャーニーマップなら、各部署がどのように顧客体験の「旅」に関連しているかは一目瞭然であり、部署の壁を超えた位置から施策の提案ができます。

関係者にインサイトの共有がしやすくなり、顧客への理解が深まる

カスタマージャーニーマップの作成には、顧客とのあらゆる接点を整理する必要がありますので、例えWebサイトにおける課題を解決しようとしても、他のチャネルの担当者たちを巻き込む議論を行うことが重要となります。関係者共同でカスタマージャーニーマップを作り上げていくにつれ、一部門の視点ではなく、「顧客視点」で物事を考える習慣が身につきます。また、顧客の行動と心理を「文脈」として整理した一枚のマップを通じて、誰もが全体像が把握でき、共通認識の形成や方針の共有がしやすくなります。

プロセスを明確に提示することで、マーケティング予算・リソース配分の参考になる

今まで点と点しかなかったタッチポイントごとの顧客行動と心理が「文脈」として整理されたことで、個々のタッチポイントの機能と重要性を俯瞰することができます。また、全体像を把握してはじめてボトルネックとなっているところや、見落としたタッチポイントを発見することもできます。これらの情報を参考に、マーケティング予算・リソースの投下箇所と比率の判断の精度が上がります。

「A good experience map feels like a catalyst, not a conclusion.」Adaptive path 社のデザインディレクターChris Risdonが言うように、良いエクスペリエンスマップ(カスタマージャーニーマップも同様)は「結論」ではなく、発見や改善へ働きかける「触媒」であるべきです。マップ自体はあくまでツールであり、活用されてはじめて本領発揮となります。

まとめ

カスタマージャーニーマップを作成する際は顧客視点に立つことが前提となりますが、もちろん企業側の視点も大事にする必要があります。顧客の行動と心理を俯瞰して分析した後、自社として提供可能なサービスは何なのか、どのタイミングでどのチャネルでアプローチするかなど、自社の現状に基づいた改善案と施策を考えるべきです。タッチポイントもチャネルも多様化になっている現在、UX/CXの最大化を狙うには、「部分最適」ではなく「全体最適」でなければいけません。ぜひカスタマージャーニーマップをWebマーケティングやサービス開発に活用してみてはいかがでしょうか。

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この記事の著者

マイクロウェーブ広報担当

マイクロウェーブ広報担当

現時点ではマイクロウェーブ唯一の中国人社員で、日々カルチャーショックを受けながら頑張っています。
若干人見知りなので広報という立場上致命的かもしれませんが、一つ一つの出会いを大切にしながら、これからも自分らしく成長していきたいと思います。

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