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2014.10.15

4種の事例から見るコンシューマ向け(C向け)アプリの活用

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日進月歩の技術発展につれ、人々のライフスタイルも昔と大きく変容しています。2014年4月に内閣府が発表した消費動向調査(※1)によると、2014年3月末のスマートフォン世代普及率が5割越えの54.7%となりました。また、9月にiPhone 6およびiPhone 6 Plusの予約注文が過去最高記録を更新し、最初の24時間で400万台に達したことも発表されており、スマートデバイス普及の勢いは止まりません。

そのため、現在の市場で勝ち抜くためにはスマートデバイス戦略が不可欠であり、「アプリの活用」は必然と重要なテーマとなっています。しかし、積極的に推進している企業が急激に増えている一方で、アプリの可能性を認識しているものの、どう展開すれば良いかは分からず、なかなか動き出せない企業も多いのが現状です。アプリを作成する場合、企業側の目的はもちろん重要ですが、ユーザーに対して「どんな価値を提供するのか」も大切です。アプリである故、まずは端末にインストールし、使うたびに基本的には起動する手間が掛かります。利用に至るまでにユーザーの積極的な関与が必要になるため、その行動を後押しする「アプリを利用する価値」の提供が課題となってきます。この部分が欠落したアプリはインストールすらされず、まったく利用されないまま終わってしまう恐れがあります。

そこで今回は、自社でアプリの活用を考えている方のために、価値提供の視点から、「エンターテイメント」「企業情報」「日常ツール」「インセンティブ」という4つのタイプに大別し、対象範囲の広いコンシューマ向けアプリ(以下C向けアプリ)に焦点を当て、ヒントを探っていきましょう。

「アプリ」の定義と種類

事例を見る前に、まず「アプリ」の定義と種類をおさらいしておきましょう。「アプリ」の正式名称は「アプリケーションソフトウェア」であり、ユーザーが実施したい事を作業できるように設計されたソフトウェアのことです。お馴染みのWord、Excel、PowerPointが代表的なものと言えます。

近年スマートデバイスの登場で、モバイル環境でも手軽に使える様々なソフトウェアが開発され、「app」「アプリ」といえばスマートデバイス向けのものとして認識する人も多いでしょう。また、一言でアプリと言っても、「Webアプリ」と「ネイティブアプリ」、また両者を融合した「ハイブリッドアプリ」など違いがあります。

4つのタイプのC向けアプリ活用事例

タイプ① 「エンターテイメント」を提供

事例: 養成ゲーム感覚のO2O施策で販売促進 - 「話せる自販機 GEORGIA」

文章日本コカ・コーラ株式会社は日本国内で約98万台の自動販売機を保有しており、特に缶コーヒーブランド「ジョージア」の売上の6割は自動販売機が占めていると言われています。この重要なチャネルを通じて消費者とコミュニケーションを図ろうと、2013年秋冬キャンペーンの一環として、「話せる自販機 GEORGIA」というアプリの無料提供を開始しました(現在は終了しています)。

このアプリは、自動販売機を“馴染みの店”に見立て、よく利用する自動販売機をアプリに登録すれば、近づくたびに「店長」に扮する女性タレントからメッセージが届きます。更に購入時間や頻度に応じて会話の内容が変化していくので、関係値を築いていきながら様々なコンテンツを楽しむことができます。実際の参加者の約7割がブランドへの親近感が高くなったと回答しており、強化したかった20代のターゲット層へのアプローチにも成功しています。このユニークなO2Oキャンペーンに多くの注目が寄せられ、「コードアワード2014」(※2)の「グッド・キャンペーン」に選ばれました。

タイプ② 「企業情報」を提供

事例: ステークホルダーとのコミュニケーションで企業への理解を向上 - 「SoftBank Corp.」

株式会社ソフトバンクは、2011年末にグループの「今」を届ける企業情報アプリ「SoftBank Corp.」をiPhone、iPad向けに提供開始しました。このアプリは、写真とともにグループ各社のイベント速報や最新ニュース、決算説明会や記者説明会などの動画を配信しています。特徴的な機能としては、孫正義氏がTwitterで「やりましょう」とつぶやいた案件ごとの進捗状況や経緯を確認することができます。

このように、スマートデバイスの特性を活かし、時効性の高い情報を早く届けることが可能になります。また、企業としてのあり方・目標をステークホルダーに共有することで、企業のミッション・ビジョンへの理解向上が期待できます。更に、注目の経営者である孫氏の考え方や洞察が身近に触れられ、企業への親近感・信頼感も湧きやすいです。

タイプ③ 「日常ツール」として提供

事例: 日々使う写真加工ツールで認知を拡大 - 「earth photo&diary」

株式会社クロスカンパニーは2013年10月に、主力ファッションブランド「earth music&ecology (アース ミュージック&エコロジー)」の公式カメラアプリ「earth photo&diary」を提供開始しました。ユーザーが撮影した写真や保存している画像に、ブランドのオリジナルフィルターやオリジナルコピーを添え、まるでカタログの1枚のような写真を作成することができます。また、作成した写真はdiaryに追加され、自分だけのフォトダイアリーが作れます。

CMやカタログのような「かっこいい」、「雰囲気のある」写真を作るのが本来の使い方ですが、ユーザーの想像力によって、実に多くの画像とキャッチコピーの面白おかしい組み合わせが生まれ、TwitterなどのSNSで広く拡散し、話題を呼びました。

写真アプリは王道が故の差別化の難しさがあります。自由に画像に文字を入れるのではなく、限られている“枠”を提供し選択させるのがこのアプリのポイントです。写真を撮ってからコピーをつけるのが一般的だが、コピーに画像を合わせるという逆の発想が遊び心を誘発します。このように面白く使われるのが企業の予想通りかどうかは分かりませんが、ブランドが広い消費者層に認知され、親しまれる結果から目的達成したと言っていいでしょう。

タイプ④ 「インセンティブ」を提供

事例: 特典の提供で購買時以外の消費者行動まで把握 - 「MUJI Passport」

株式会社良品計画は2014年8月に、無料アプリ「MUJI Passport」のリニューアル版を公開しました。このアプリ自体は会員証であり、提示することでポイントやクーポンの利用が可能です。また、店舗検索や在庫確認、チェックイン、お気に入り登録、購入履歴確認、ニュースなど、多彩な機能が集約されています。同社の発表によると、2013年5月公開してから2014年8月時点で、約213万ダウンロード、延べ1,300万回店頭やネットストアで利用されているそうです。

同社はデジタルマーケティングを早い段階から推進してきました。Webサイトをはじめ、Twitter、Facebookページ、mixiページ、LINEといったSNS、更にクチコミサイトの「myMUJI」をネットストアと連携させるなど、デジタルメディアを駆使して顧客とのコミュニケーションを図ってきました。しかし局所的で施策を打っても、ブランドの認知に効果はあるが店舗の売上には直結しづらいという問題点が浮かび上がりました。そこでオムニチャネル戦略の中核として誕生したのが、この「MUJI Passport」です。

以前同社は商品の購入時点に注目していたが、現在は購入前の検討段階及び購入後の使用・評価期間をトータルに捉えた“顧客時間”の傾聴と分析に着目しています。アプリを利用することで、実店舗とネットでの買い物はもちろん、クチコミ投稿やイベント参加など、無印良品との関わり合いを全部「MUJIマイル」という形で合算し、貯まったマイルに応じて買い物時に使えるポイントなどの特典がもらえます。単なるデジタル化された会員証ではなく、実店舗とWebをシームレスに連携し、顧客との継続的なコミュニケーションを支えるプラットフォームとして成長させていく狙いです。アプリ公開後、既存店舗の売上アップが確認されており、収集したビッグデータもあらゆる場面で活用されています。

上記の内容を踏まえ、それぞれの価値提供による主な期待効果と注意点を簡単にまとめました。

アプリ制作を検討する際に

上記のようなC向けアプリもあれば、作業効率の向上などに貢献する業務用アプリ(B向けアプリ)もたくさんあります。しかし対象や目的が異なっても、アプリ開発にはコストとリスクが避けられません。決して「とりあえず作ってみよう」とせずに、しっかりと市場の需要を把握した上で、企業戦略の全般において、アプリの位置付けと役割を決定する必要があります。

ここで一点だけ、対応OSと端末について記しておきます。予算とスケジュールの関係で優先順位を検討する際に必ずデータを利用しますが、特に公表されているデータを鵜呑みにするのは危険です。データの収集方法、統計対象によって結果が逆になったり、収集範囲(国、地域)、サンプル構成によって大きなバイアスが現れたりすることは十分考えられます。また、性別や年代によってアプリと端末の利用習慣も大きく異なるため、企画を考える際に、まずターゲットである利用者層の属性を明確に定義した上、適切なデータを参考に判断していただきたいです。

まとめ

企業にとってのアプリは、商品・サービスそのもの、あるいは販売チャネルだけでなく、有益な情報や面白い体験を提供することで、企業イメージの向上、ファンの育成といったブランディング効果や、バイラル性によるプロモーション効果があり、間接的・長期的に売上に貢献することが期待できます。アプリは、いわゆる「コンテンツマーケティング」の一つの形でもあります。もちろん、アプリである以上、ダウンロードしてもらえるかどうか、継続的に使ってもらえるかどうかの難関はありますが、戦略次第でどんな施策よりも顧客のそばに寄り添い、日常生活に関与することが可能なツールにもなれます。

また、iOS 7から搭載されたことで最近話題になっている「iBeacon」(近距離通信の新しい仕組み)やウェアラブルデバイスなど、新技術の登場により更にアプリ活用の幅が広がっていきそうです。ぜひ貴社のモバイル戦略にも取り入れてみてはいかがでしょうか。

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この記事の著者

マイクロウェーブ広報担当

マイクロウェーブ広報担当

現時点ではマイクロウェーブ唯一の中国人社員で、日々カルチャーショックを受けながら頑張っています。
若干人見知りなので広報という立場上致命的かもしれませんが、一つ一つの出会いを大切にしながら、これからも自分らしく成長していきたいと思います。

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