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コラム

2025.12.05

業務別RAG活用事例4選:「探す」をAIで自動化

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「あの資料どこだっけ?」と探す。
「前にも答えた質問」に、また答える。

あなたの会社では、こうした「探す」「答える」といった業務に、
社員の貴重な時間が奪われていないでしょうか?
営業、採用、情シス、カスタマーサポート…
多くの部署で共通して発生するこれらの「見えないコスト」を、最新のAI技術である
「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」が劇的に削減できるかもしれません。
この記事では、技術的な解説は最小限に、「RAG」を活用した具体的な業務改善シーンを、
部署別に4つご紹介します。

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RAGとは?

「RAG(ラグ)」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、ごく簡単に言えば、
『御社の"社内データ"を正確に理解して回答する、優秀なAIアシスタント』
をつくる技術です。
一般的なChatGPTのような生成AIは、インターネット上の「世の中の一般論」しか答えてくれません。
しかしRAGを用いることによって御社の
・製品マニュアル
・営業の提案資料
・就業規則
・過去の問い合わせ履歴
といった特定の社内データだけを参照し、
「御社専用の正確な回答」を24時間365日、瞬時に生成できるようになるのです。

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【部門別】RAG活用による業務改善シーン4選

シーン①【営業部門】セールスイネーブルメント

課題

営業管理システムや社内ドライブに情報が点在。
「競合A社への反論トーク」「最新のB製品の導入事例」など
営業が商談準備で「資料を探す」時間に膨大なコストがかかっている。

RAG活用例

過去の提案資料、営業管理システムの活動履歴、製品マニュアル、SlackのQ&AログをRAGに連携。
〈活用イメージ〉
ーーーーーーーーーーーーーー
[営業担当者]
「製造業向け、プランBの導入事例と、競合A社との比較資料を要約して」

[RAG営業アシスタント]
「こちらが関連資料です。要点は『コストメリット』と『XX機能の優位性』です。
A社への反論トークは以下の通りです...(参照:XX議事録)」
ーーーーーーーーーーーーーー

期待できる効果

・分散した資料の即時検索・要約による、商談準備時間の劇的短縮
・トップセールスのナレッジ共有による、新人営業の早期戦力化と提案質の底上げ
・競合情報や類似事例への瞬時のアクセスによる、商談時の即答率と信頼度の向上

シーン②【採用部門】採用候補者体験の向上

課題

候補者から「福利厚生は?」「残業時間は?」といった定型質問に人事が対応。
また、膨大なレジュメ選考に時間がかかり、優良な候補者へのアプローチが遅れている。

RAG活用例

就業規則、福利厚生ガイド、社員インタビュー記事、過去の採用Q&AをRAGに連携。
〈活用イメージ〉
ーーーーーーーーーーーーーー
[候補者(土曜の夜)]
「リモートワークは可能ですか?育休からの復帰実績も知りたいです」

[RAG採用ボット(即時回答)]
「はい、リモートは週2日まで可能です(就業規則XX条)。育休復帰率は95%で、XX部門のAさんの事例(記事リンク)のように…」
ーーーーーーーーーーーーーー

期待できる効果

・24時間365日即対応可能なことによる採用候補者体験の向上
・求める人物像のインプットによる、レジュメ選考の精度向上と工数削減
・人事の定型業務削減による、採用コア業務への集中

シーン③【情シス・総務部門】社内ヘルプデスク業務効率向上

課題

情報システム部門や総務部が、社員からの
「PCの調子が悪い」「XXシステムのログイン方法は?」
といった、毎日繰り返される社内問い合わせ対応に忙殺され、
本来のコア業務(インフラ整備や制度設計)が進まない。

RAG活用例

社内規程、各種マニュアル、過去の問い合わせQ&A(Slackログなど)
情報システム部のナレッジベースをすべてRAGに連携
ーーーーーーーーーーーーーー
[社員(Slack等で質問)]
「出張費の仮払い申請の方法と、必要なフォームを教えて」

[RAG社内ボット]
「仮払い申請はXXシステムから行います(リンク)。
申請書フォーム(Excel)はこちらです。経理部のXX規程に基づき、3日前までに申請してください」
ーーーーーーーーーーーーーー

期待できる効果

・社内規程・マニュアルの横断的な検索による、問い合わせ対応工数の大幅削減
・申請方法などの疑問をBotが即解決することによる、社員の自己解決率向上
・定型業務からの解放による、インフラ整備や働き方改革などコア業務への集中

シーン④【カスタマーサポート(CS)部門】顧客満足度向上

課題

顧客からの問い合わせに対し、回答品質がオペレーターのスキルに依存(属人化)。
新人が育つまでに時間がかかり、教育コストが膨らんでいる。

RAG活用例

製品マニュアル、過去の顧客対応履歴(CRM)、FAQサイト、技術仕様書をRAGに連携。
ーーーーーーーーーーーーーー
[新人オペレーター]
(顧客から「XXのエラーが出ました」と入電。RAGシステムに質問を入力)

[RAGアシスタント(オペレーター向け)]
「推奨回答:『XXをご確認ください』。このエラーはXXが原因の可能性が高いです。(参照:マニュアルP.XX、類似チケットNo.12345)」
ーーーーーーーーーーーーーー

期待できる効果

・マニュアルや過去の優良対応ログの参照による、回答品質の均一化(属人化の解消)
・推奨回答のリアルタイム提示による、新人オペレーターの教育コスト削減
・技術仕様や類似トラブル事例の即座検索による、顧客の保留時間短縮と満足度向上

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RAG導入を成功させる2つの鍵とは?

「RAGは万能だ」と感じられたかもしれませんが、
実は、ただ高機能なAIシステムを導入するだけでは、業務効率化は実現できません。
なぜなら、AIはあくまで「道具」であり、
中身(データ)と目的(課題)が空っぽの状態では、何も生み出せないからです。

RAG導入プロジェクトを成功に導くためには、
AIの技術選定よりも重要な「2つの鍵」があります。

1.「課題」の特定

「営業資料を探す時間を1日30分減らしたい。」
「採用FAQの回答精度を均一にしたい。」
というような「解決したい課題」が曖昧だと、
どのようなデータを学習させるべきか定まらず、結果として
「何でも答えられるが、役に立つ答えは返ってこない中途半端なツール」
になってしまいます。
そのためにも導入を決める前の段階で、可能な限り課題を定量化することをオススメします。

2.「データ」の整備

RAGの賢さは、AIの性能ではなく、「参照する社内データの質」で決まります。
もし、AIに学習させるマニュアルが「3年前の古い情報」だったり、
「人によって書き方が違う不揃いな議事録」だった場合、AIはそれを真実として学び
「自信満々に間違った回答」をしてしまいます。
AIに学習させる前に、社内のデータを「AIが理解しやすい形」に
整理・棚卸しすることこそが、導入成功の9割を握っていると言っても過言ではありません。

まとめ:RAGは人とデータを繋ぐ「全社DX」の架け橋

RAGの活用は、単一の部署の業務効率化に留まりません。
営業が使ったデータをCSが参照し、CSに寄せられた「お客様の声」を採用が活用する…
といった、部門を横断したナレッジの連携こそが、RAGがもたらす最大の価値です。
あなたの会社では、まず「どの部署」の「どの課題」からAI化(RAGの活用)を
スタートできそうでしょうか?

RAG活用・導入に関する「無料相談」を実施中

RAG導入には「課題の特定」と「データの整備」が不可欠だとお伝えしました。
しかし、これらを社内だけで進めるのは簡単ではありません。
弊社では、こうしたお悩みをお持ちの企業様向けに、
RAG活用の「無料相談会」を随時行っております。
まずは情報収集や、壁打ち相手として活用いただく形でも問題ございませんので
お気軽にご利用ください。

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この記事の著者

マイクロウェーブ コーポレートプランニング本部

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