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コラム

2017.12.21

デジタルトランスフォーメーションとは何か。―ICT時代の生き残りのために―

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デジタルトランスフォーメーションとは

デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation:DX)とはそもそも何でしょうか。
近頃NECはデジタルトランスフォーメーションへの取り組みを強化すると発表していますが、そこにおいてDXは『実世界の出来事をデジタル化してサイバー世界に取り込み、人・モノ・コトをつなげて新しい価値を生み出し、生活やビジネスをより良く変えていくこと』と定義されています。
多くの企業では業務のデジタル化による管理体制の強化や業務効率化を推進しているかと思いますが、DXと言われてピンとくる担当者はそこまで多くないのかもしれません。
なぜDXを推進しなければならないのか。それによって何ができるのか。明確な回答の無いまま言葉だけが一人歩きしている感覚が否めないと感じる方もいるのではないでしょうか。
今まで明確に存在していた企業側とユーザー側の情報格差がICT技術の進化やスマートフォンデバイスの普及によってなくなり、企業側では大いに変革を求められる状況となっています。
そこで期待されるのがDXを用いた『新しい価値の創造』になります。企業は多様で大量なデータを活用して新しいビジネススタイルを創出していくことになります。

国内におけるデジタルトランスフォーメーションの状況

マイクロソフトの2016年10~11月の調査(https://enterprise.microsoft.com/ja-jp/articles/roles/it-leader/digital-transformation9/)では「「デジタル トランスフォーメーションが重要」とした回答者は、アジア全体の平均が 80% であるのに対して、日本ではわずか 50% にとどまっていた」としています。
 
2017年4月6日に発表されたIDC Japanの
「国内デジタルトランスフォーメーション(DX)成熟度に関するユーザー調査結果を発表」によれば、

  • 国内ユーザー企業のDXに向けた取り組みは、前年調査に比べて成熟度が向上
  • しかしながら、多くの企業では、短期的かつ従来のビジネスの効率化が中心
  • 革新的な製品やサービスの創出に向けた顧客エクスペリエンスの強化とエコシス

であるとしています。導入度を1~5段階に分け、そのアンケート全体の46.1%の企業においてはステージ3、標準基盤化の状態に到達しているということ。
2016年に行った同調査に比べると、1年でちょうど一段階ステップアップしていることになります。


出典:IDC Japan:「国内デジタルトランスフォーメーション(DX)成熟度に関するユーザー調査結果を発表(2016年調査)」
出典:IDC Japan:「国内デジタルトランスフォーメーション(DX)成熟度に関するユーザー調査結果を発表(2016年調査)」


出典:IDC Japan:「国内デジタルトランスフォーメーション(DX)成熟度に関するユーザー調査結果を発表(2017年調査)」
出典:IDC Japan:「国内デジタルトランスフォーメーション(DX)成熟度に関するユーザー調査結果を発表(2017年調査)」

必要性を叫ぶ声が大きくなってくる中、国内においてもDXへの認識が強まっており、その導入率は日に日に上がってきています。
お隣、中国に目を向けてみるとモバイルデバイスの普及率の高い首都圏におけるDXはすでにキャッシュレス時代に突入しているほどです。

デジタルトランスフォーメーションを推進するということ

こんな中、米ゼネラル・エレクトリック(以下GE)においてはDXの成果を目に見えた形で達成するということは出来なかったものの、GEは依然としてDXをけん引する旗振り役であり、その役割を期待されています。
GEにおいて見通しとして、2018年もDXを顕在化させるにはまだまだ事前の段階にあり、苦難が続くだろうとしています。
大企業においてもDX化の苦戦が続く中においてもしかし、このデジタルへの改革の勢いは止まらない。不可逆的だと言ってもいい。なぜか。端的に言ってしまえば、ユーザーがそれを望んでいるからです。

先も述べたことではありますが、ICT技術の普及によりユーザーの知識量は増加しています。インバウンドマーケティングが主流になるこのご時世でユーザーは常に情報を欲しています。
ユーザーがより良いものの情報を求めるのは常ではあるものの、そこに至るまでのプロセスが検索、比較、検討、購入までがWeb上でなら5分で完結することもあるほど速いものに変化しています。
ICT技術の第一のプラットフォームである「メインフレームと端末」、第二のプラットフォームである「クラアント/サーバシステム」はどこを見てもわかるように普及しています。
企業のWeb担当者は第三のプラットフォームである「モバイル・ソーシャル・ビッグデータ・クラウド」の4要素と日々にらめっこしていることだろうと思います。

ユーザーはモバイル端末を持ち、欲しい情報にアクセスし、ソーシャルネットワークを使い情報を拡散させる。
企業はその膨大なビッグデータを解析し、ユーザビリティを追い求め新しいクラウドサービスを日々生み出している。
そしてその全ての環境は言うまでもなくデジタル技術に依存しています。ユーザーはネットを介して企業への間接的な影響力を強めているのです。
DXの推進はユーザーの要求に答えるためのスピード感を得るためにはもはや必須の事項となってきていると言えます。

デジタルトランスフォーメーションの導入事例

日本コカ・コーラでは2016年にローンチした「Coke ON」アプリにおいてDXを活用したUXの向上を図っています。
同アプリは全国20万台(2017年9月現在)の専用のスマート自動販売機にかざし、商品を購入することでポイントが貯まり、貯まったポイントで無料ドリンクのチケットがもらえ、商品と交換でき、またそのチケットを友達にプレゼントすることが出来るアプリとなっています。
全国に設置してある約98万台のコカ・コーラ社の既存自動販売機に関してもスマート自動販売機化を推進しています。これにより今後、アプリの利用者の増加を見込んでいます。
パナソニックでは「パナソニック クラウド サービス プラットフォーム(PCPF)」をAzure上に構築。150万台以上の家電製品がクラウドにつながっており、たとえば外出先からテレビやエアコンを操作するようなことを可能にしています。自社商品とインターネットを連動したまさにIOTの分かりやすい事例と言えます。
DXに対する企業の取り組みというのは多岐にわたります。アプリ開発やクラウドサービスの展開など、それぞれの企業にあったやり方を模索していく必要があります。

まとめ

デジタル化社会というじゃじゃ馬を乗りこなすためには自らもデジタル改革を行い、暴れ回る馬の手綱を正しく引いてやる技量と知識が必要になります。
DXとはただ単に業務のデジタル化、効率化などの手段にとどまらず、この目まぐるしい変化の時代を生き残るための生存戦略であるとも言えます。
先ほど述べた第三のプラットフォームへの対応は国内の各企業でも着実に導入が進んでいます。ここから更に第四次産業革命とまで言われ、ICT技術の第四のプラットフォームと目されるAI、IOT、ロボティックス、フィンテックなどのコンテンツに対応していくためにはDXの成熟度がものをいうことになりそうです。

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