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コラム

2022.03.07

【EDI】2024年問題はB2B-ECで解決できる! EDIとECの違い・向き不向きを解説

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あらゆる産業で取引基盤のデジタル化が進む中、B2Bビジネスにおいて「EDIの2024年問題」解決が早急の課題になっています。
その発端は、2024年1月をもってISDN回線(アナログ電話回線を使ったデジタル通信網)が終了しIP網へ完全移行するというもの。

1990年代以降、ISDN回線を使用して注文書や請求書のやり取りなど企業間取引の電子データ交換に貢献してきたEDI (electronic data interchange)から、インターネット回線を使用するWeb-EDIやB2B-ECサイトへ切り替えが急がれています。
EDIを利用している企業にとって対応すべき重要課題が明らかな状況において、加速度的に社会・企業のDX(digital transformation)・EC化が進み、単なる使用回線の(Web-EDIへの)切り替えだけではなく、場合によってはB2B-ECサイト構築が選択肢となっていることは注目に値します。

本コラムでは、EDIの2024年問題を解決すべくWeb-EDIへの切り替えと合わせて、未来志向で考えるB2B-ECサイト構築の選択基準について解説いたします。

1.EDI の2024年問題とは?

NTT東日本・西日本は、2024年1月にISDN回線の提供を終了しIP網への完全移行を発表しており、EDIシステムの通信に広く利用されてきたISDN回線の提供が終了します。
これが「EDIの2024年問題」です。

現在も企業間取引におけるEDIでISDN回線が利用されているケースが多くある中、2024年1月までには否応なしに他システムへの切り替えが必要な状況に対し、ベンダーや取引先などが複数社関係しているEDIでは、移行に時間と手間がかかるため早期の対応が求められています。

また、インターネット回線を利用するWeb-EDIへの移行においては、データ形式や取引画面などが標準化されていないことから発注企業ごとに仕様が異なる「多画面化」という問題があります。
Web-EDIの多画面化によって、本来のEDIメリットであるスピーディーな処理対応が活かされず、業務効率低下の可能性がある点には注意が必要です。

最近では、EDIの2024年問題の根本的解決としてWeb-EDIへの移行ではなく、インターネット上で受発注を行うB2B-ECへ切り替え(B2B-ECサイト構築)を選択するケースも多く見られるようになりました。

2.EDIとB2B-ECの違いとは?

EDI(Web-EDI)もB2B-ECも企業間の商取引を行うツールのため、その違いが分からないことも少なくありません。具体的にどこが違うのでしょうか?

EDIは従来の紙のやり取りを電子化するツールであり、ルーティーン化されたやり取り(定型業務)を自動化することで、おもに受発注業務を効率化するのが目的です。
また、EDIは買い手主導のシステムとして、売り手は買い手に合わせてEDIを選ぶのが主流です。

それに対し、B2B-EC(企業間取引用ECサイト)は、PC・スマートフォン・タブレットなどのデバイス(端末)とインターネット回線があれば商取引を行うことができ、取引先がシステムを導入する必要はありません。
BtoC-ECと同様にECサイト上で売れ筋商品や関連商品を表示するなど、取引先に対するクロスセル・アップセル施策が可能で、受発注業務の効率化だけでなく売上増にも効果があります。

取引先ユーザーにとっても馴染みのあるネットショッピングと同じ感覚で利用でき、操作性が高く注文しやすい特徴から、既存顧客だけでなく新規顧客の獲得が活発になることも珍しくありません。
大量の書類処理に適したEDIでは小口取引において十分なメリットが得られないことがある点において、B2B-ECでは大口取引だけでなく小口取引でも業務効率化や売上増が見込めることも見逃せません。

ただし、B2B-ECがすべての面でEDIより優れているわけではないことも認識する必要があります。特定の取引先と大量の受発注が前提となる場合は、EDIの導入は欠かせないといえます。
大手チェーン店との取引など、先方(買い手)指定のEDIを利用しなければならないケースもあり、状況によってはEDIとB2B-ECを併用するケースも多くあります。

3.B2B-ECサイトの進化(1990年代、2000年代、2015年~)

ネット通販型(1990年代~)

ネット通販型のB2B-ECサイトでは「アスクル」や「MonotaRO」などが代表的です。
B2B-ECの先駆けともいえる存在で、それまでは閉鎖的であった企業間取引の納期や価格をオープンにした法人向け通信販売の実現モデルです。

マーケットプレイス型(2000年代~)

マーケットプレイス型のB2B-ECサイトは、ネット通販型とは異なり、複数の卸売業者の商品をWebサイト上に出品するモデルで、2000年代に登場した「スーパーデリバリー」や「NETSEA」などが知られています。
会員にのみ卸価格を公開する従来の企業間取引の商慣習が取り入れられ、インターネット上の企業間取引における障壁が格段に低くなりました。

自社サイト型(2015年~)

マーケットプレイス型では、新規顧客開拓の面で圧倒的な役割を果たした反面、同一サイト上に競合他社の商品が掲載されるため価格競争が激しく、顧客が離脱するデメリットが色濃くなります。
それら課題の解決を目論んで2015年頃に登場したのが会員制の自社サイト型のB2B -ECサイトで、取引先ごとの販売商品や価格管理はそのままに、自社商品のみを販売するECサイトを運営するモデルです。

ネット通販型やマーケットプレイス型との大きな違いは、自社の業務フローにECサイトを組み込み、電話・FAX受注などの従来業務をECサイト上で完結させることで、大幅な業務効率化が見込まれることです。
今まで営業担当者を付けることができなかった顧客に対し、新たな接触機会の創出が可能になる点も強みです。

4.成長市場として注目されるB2B-EC

令和3年(2021年)7月の経済産業省公表によると、B2B-EC市場規模(広義)は令和元年時点で353.0兆円、ECの普及率を示すEC化率は31.7%とされています。
市場規模は前年比2.5%増、EC化率は前年比1.5ポイント増といずれも増加傾向にあります。
また、新型コロナウイルスの影響により、令和2年度の市場規模は334兆円で前年比5.1%減と落ち込みましたが、EC化率は1.8ポイント増の33.5%となっており、B2BにおけるEC化はその規模の大きさからも成長市場であることは間違いありません。


令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)報告書より引用
令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)報告書より引用

5.まとめ(EDIではなくB2B-ECにするべき基準)

目前に迫る「EDIの2024年問題」をどのように捉え、どのような観点からデジタル活用の転化を図るべきなのか?

単なるWeb-EDIへの切り替えと同等に、これからの時代のデジタル活用を見据えた未来志向の選択肢としてB2B-ECサイト構築を検討から外すことはできません。

もちろん、B2B- ECはすべての面でEDIを凌駕するものではなく、自社の企業間取引の状況からWeb-EDIへの移行を選択したほうが良いケースもあります。
特定(少数)の取引先から大量の注文を安定的に受ける場合などが該当します。

反対に、既に複数(多数)の取引先からの少量注文が多い場合や、企業のポリシーとして特定(少数)の取引先に依存せず、複数(多数)の取引先に販売することで販路・売上の拡大を目指す場合はB2B-ECが適しています。
B2B-ECサイトで様々な商品を適宜おすすめしたり、キャンペーンを実施するなど、定番化された商品受注以外にも新たな商品・関連商品の販売につなげることも可能です。
受注とセールスが一体になった仕組み(システム)として、見積書発行や売掛決済機能、取引先別商品表示機能、取引先別価格管理機能などが搭載されており、業務管理システムや商品マスタ・得意先マスタなどとデータ連携させることで、企業間取引の大幅な効率化・スピードアップも可能になります。

また、企業のB2B-EC事業が目指す姿(目的)によってECサイト構築の方法(プロセス)も異なり、現在では多数のベンダーから様々なECソリューション(ECプラットフォーム)が提供されています。
ECサイト構築に掛かる時間・費用の両面において、すべてを1から開発するのではなく「ECソリューションの選定とプラットフォーム利用+必要に応じたカスタマイズとデータ連携」を前提とした構築パターンが主流となった現在では、ECソリューションの選定において基幹システムなど他システム連携によるビジネス効果最大化の観点が最も重要になっています。

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この記事の著者

マイクロウェーブ マーケティングチーム

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