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コラム

2022.08.04

【EC事例】海外ECの成功から学ぶべき未来とは?『Dollar Shave Club』編

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本コラムでは、グルーミング商品のサブスクサービスを初めて展開した『Dollar Shave Club』のEC成功事例をピックアップし、そのプロセスの紐解きをもとに、これからの時代のEC成功に向けたヒントをご紹介いたします。

1. Dollar Shave Clubとは

Dollar Shave Club は、カミソリなどのグルーミング商品の定期便サービス(サブスクリプションサービス)を初めて展開したアメリカの企業です。
同社が設立された2011年時点で、カミソリ市場の70%をジレットとシックが占有していましたが、それからわずか5年で売上10億ドルの企業に成長し、2016年にはカミソリのオンライン市場の54%(ジレットは同市場の21%)を占めるほどの成長を示しました。

Dollar Shave Club設立のきっかけは、カミソリは肌の状態や体質の変化によって常に変更する(使い分ける)必要があるにもかかわらず、当時は価格も決して安くなく、店頭まで出向いて購入するのが当然であった問題(面倒くささ)を解決したい思いからでした。
これらの問題解決に向けてDollar Shave Clubが出した答えが、Web上でいつでもユーザー好みの商品が自動的に購入可能な、ユーザー一人一人にパーソナライズ化されたカミソリ(グルーミング)商品のサブスクリプションサービスです。
多くの男性がカミソリを購入する際に抱えていた悩みにフォーカスし、効果的かつ効率的な解決方法(ビジネスモデル)を見出したのです。

設立当初の半年間は、ブロガーと繋がることに注力して新しいサービスの情報を拡散しました。その結果、サービス導入期に必要とされる高額なマーケティングコストを費やすことなく、1,000人を超えるサブスクライバー(サービス利用者)を獲得します。

現在では、カミソリ以外にも石鹸やシャンプーなど、さらに多くのグルーミング商品を取り扱っており、性別を問わないライフスタイルブランドへと成長しています。

2. Dollar Shave Clubのマーケティング:サブスクリプション

Dollar Shave Clubで商品を購入する際には、以下のように簡単な質問に答える必要があります。

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① 顔や足など、シェービングする体の部分を選択します。

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② 毎日や毎週など、シェービングする頻度を選択します。

【EC事例】海外ECの成功から学ぶべき未来とは?『Dollar Shave Club』編

③ 肌が赤くなる、肌が乾燥するなど、シェービングによって起こる問題を選択します。

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④ シワ、油性肌、敏感肌など、肌の状態(肌質)についての悩み(問題)を選択します。

【EC事例】海外ECの成功から学ぶべき未来とは?『Dollar Shave Club』編

⑤ 回答が完了すると、肌の状態や悩みに合わせた商品がレコメンドされます。

【EC事例】海外ECの成功から学ぶべき未来とは?『Dollar Shave Club』編

⑥ レコメンドされた商品の数量を設定し、サブスクリプションの頻度を選択します。

また、初回注文の商品代金と配送料は無料で提供しており、初めて利用するユーザーが抱くオンラインサービスへの不安を解消しています。
このように、時代に先駆けてスタートしたユーザーファーストのサブスクリプションサービスの成長とともに、「30日間の返金保証」「パーソナルメッセージ入りボックス」「配送頻度の細かな設定」「メンバーシップの常時キャンセル可能」など、ユーザーの期待に応え続けることで、常に一歩先を行くECビジネスとしての認知を獲得しています。

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3. Dollar Shave Clubのマーケティング:YouTube

Dollar Shave Clubが初めてYouTubeに動画をリリースしたのは2012年でした。
その動画は3カ月で475万回再生され、48時間で12,000件の注文を生み出し、一時的にサーバーがシャットダウンされるなど、想像以上の反響を呼びました。そこからDollar Shave Clubの急速な成長が始まります。

動画(ビデオ)のマーケティング活用によって、まだ一般的には知られていないスタートアップ企業においても、ブランドへの注目や顧客、ロイヤリティを生み出すことができることを示した好例です。
実際に、動画をマーケティングに活用している企業と活用していない企業では、活用している企業の売上が49%速く伸びるという報告もあります。

Dollar Shave Clubの動画では、最初の10秒で明確なセールスを行い、その後はユーモアを交えてカミソリを使うべきなのかを伝えています。
フレンドリーな語り口は、このようなノリで企業と接した経験の少ない男性のマインドに響いたようです。

商品のメリットを端的にはっきりと伝えた上で、ターゲットユーザーとの友好な関係をできる限りダイレクトに築くことに重点をいた動画は、ユーモアに包まれて展開しますが、当然ながらその目的は販売です。
自社動画の配信以外にも、ユーチューバーやコンテンツクリエーターに対するスポンサードを行っており、インフルエンサーの影響力が強くなる状況下、動画クリエイターを通じて新しい視聴者にリーチすることは、今では一般的なマーケティング戦略になっています。
お気に入りのユーチューバーが特定の商品について語ることは、一見して企業発信と分かるメッセージ(セールス)よりも説得力があります。

Dollar Shave Club は、最大1,630万人のサブスクライバー(サービス利用者)を抱えるユーチューバーをスポンサードし、一動画あたり最大770万回再生されています。
コンテンツクリエーターとのパートナーシップ構築は、今最も注目されるデジタル広告手法として、多くのブランドがそのメリット(効果)を認識し始めています。

4. まとめ

現在、オンライン上のサブスクリプションサービスは日々成長しており、オンラインストリーミング・プラットフォームから、まだ目新しさを伴うサブスクリプションまで、あらゆる分野で利用されています。
そして、スタートアップのような一般的には知られていないサブスクリプションサービスであればあるほど、成功する可能性を秘めています。

ただし、サブスクリプションサービス成功のためには、顧客(ユーザー)が日々抱えている問題の解決を明確に示すことができるかどうかが最も重要です。
Dollar Shave Club成功の理由は、カミソリについて当時の男性が抱えていた悩みを解決することにフォーカスし、今もなおサービスの充実を怠らないためです。
独自のユーモア(語り口)によって、ユーザーを引き付けてはなさい世界感を創出し、より多くの顧客を魅了し続けています。

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マイクロウェーブ コーポレートプランニング本部

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