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コラム

2022.08.18

【EC事例】海外ECの成功から学ぶべき未来とは?『HiSmile』編

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本コラムでは、デンタル・ホワイトニングキットなどをオンライン販売する『HiSmile』のEC成功事例をピックアップし、そのプロセスの紐解きをもとに、これからの時代のEC成功に向けたヒントをご紹介いたします。

1. HiSmileとは

HiSmileは、デンタル・ホワイトニングキットやマウスウォッシュなどの口腔ケア商品をオンライン販売するオーストラリアの企業です。
2014年の設立から1年半後には、スポーツや芸能界の有名人を含む何千人ものソーシャル メディア・インフルエンサーの影響力によって、1,000万ドルを超える売上に達しています。

2014年当時の口腔ケア業界は、どのメーカーも横並びの(独自性がない)ジェネリックが主流で、メーカーのコア・アイデンティティとなる商品のオリジナリティによって顧客をターゲットするようなブランドは、皆無の状況でした。

そのような中、HiSmileの設立者(Nik Mirkovicと Alex Tomic)は「口腔ケア業界で顧客が共感できるブランドと文化を作る」というビジョンを掲げます。

2. HiSmileのマーケティング:インフルエンサー

マーケティングの経験がない設立者2人は、ソーシャルメディア上の影響力(情報発信・拡散力)が見込めるインフルエンサーに商品を無料提供(配布)することから始めました。
マーケティング資金が少なかった分、コストパフォーマンス優先の戦略的なアプローチが必要だったためです。

何百万人ものフォロワーを持つ影響力の大きなインフルエンサーを採用する資金もなく、先ずは、数を束ねることで地元(会社所在エリア)に大きなインパクトを与えることができるとの想定で、マイクロ・インフルエンサーをピックアップし、地元の人々のInstagramフィードを自社商品で埋め尽くすこと(地元のマイクロ・インフルエンサーの影響力最大化)に努めます。

ユーザーが商品を知る以前に、地元のマイクロ・インフルエンサーの多くが商品を紹介(お勧め)している状況を作り上げることで、ブランドの認知度を高めることに成功しました。

このような「地元×マイクロ・インフルエンサー」戦略が功を奏し、売上の増加によって地元以外のマイクロ・インフルエンサーにも対象を広げて、商品を無料提供(配布)していきます。

インフルエンサーへの商品の無料提供において最も重要なポイントは、インフルエンサーに商品を配布して終わりではなく、インフルエンサーが作成したコンテンツの再利用(自社ソーシャルメディア・チャネルに再投稿)できるようにすることです。
それによって、自社ブランド・商品に対する認知度や信頼感が向上し、コンテンツ制作のリソースやコストを抑えることもできるのです。

ブランドの認知度や信頼感が高まると同時に、有名なインフルエンサーを戦略的に加えていくことで、独自のインフルエンサー・マーケティングを段階的に推進し、早く確実なコンテンツの充実を実現しています。

3. HiSmileのマーケティング:ソーシャルメディア

HiSmile設立から最初の半年間は、どのコンテンツが高いインタラクションをもたらしたかを確認するため、地元エリアの15歳~35歳のすべて人々をターゲットに多くのコンテンツを配信しました。
その結果、15歳~24歳の若い女性たちが高い興味・関心を示していることが分かり、自社商品のメインターゲットが明らかになります。

次に、同様の年齢層をターゲットとする他社ブランドからインスピレーションを得て、Instagram、Facebook、YouTube、Twitterなど複数のソーシャルメディアでコンテンツ配信を開始し、メディアごとのコンテンツ特性(使い分け)によって、各メディアのユーザー(顧客)が理想とするライフスタイルを描き出そうとしています。

具体的には、以下のようなメディアごとのコンテンツの使い分けを実践しています。

Instagram

【EC事例】海外ECの成功から学ぶべき未来とは?『HiSmile』編

Instagramでは、頻繫に(毎日2回)投稿することで、より多くのユーザーのニュースフィードに表示されるようになります。

また、商品を使用する前と後(ビフォー・アフター)の写真を積極的に投稿することで、商品の信頼性(実証性)向上に大きく貢献しました。

Facebook

【EC事例】海外ECの成功から学ぶべき未来とは?『HiSmile』編

Facebookでは、メインターゲットとなる若い女性たちが実際に商品を使っている様子を動画投稿することで、同じターゲット(若い女性)層と繋がることができます。

動画の基本尺は45秒で、ユーザーが知るべき(知りたい)すべての情報を45秒に凝縮することで、ユーザーはより長い期間記憶に留めることができます。

また、動画の最後に商品を勧めたい(紹介したい)友人や知人へのタグ付けをお願いすることで、売上貢献度の高い情報拡散が成立します。

YouTube

【EC事例】海外ECの成功から学ぶべき未来とは?『HiSmile』編

YouTubeでは、ターゲット層との親和性を意図したピンク配色で、エンゲージングなコンテンツを配信しています。

コスメ企業とのコラボなど、自社商品に限らず、15歳~24歳の若い女性向けの幅広いライフスタイル・コンテンツ動画を投稿し、商品のレビューセクションを使用して自社商品をアピールしています。

このように、ソーシャルメディア・マーケティングで重要なことは、メディアの特性(使い分け)を前提に、ターゲット層との親和性を高めるコンテンツ制作、ユーザーとエンゲージし続けられる仕組み、自社ブランドとユーザーが個人的に繋がっているような感覚を与える仕掛けが揃っていることといえます。

4. まとめ

HiSmileは、優れたソーシャルメディア・マーケティング戦略により、15歳~24歳の若い女性のグローバル・トレンドになりました。
このことは、ソーシャルメディアがいかに強力なマーケティング・ツールであり、その仕組みを駆使することで、ECビジネスの飛躍的な成長が可能であることを示しています。

HiSmileのソーシャルメディア・マーケティング成功のベースには、以下のような2つのポイントがあることも見逃せません。

1:小規模から始める(スモールスタート)

HiSmileは、他のスタートアップ企業と同様にゼロから始まりました。
最初の数カ月間はブランド構築に注力し、地元のインフルエンサーを対象に自社商品を無料で提供(配布)しています。

大規模なソーシャルメディア戦略に充てる資金もなく、コストパフォーマンス優先でのマーケティングを徹底した後、ある程度の売上規模に達した時点で有料広告に着手して商圏拡大へとドライブをかけています。

2:商品を磨く(商品品質の向上)

ソーシャルメディア上の情報拡散において、当たり前にネガティブなレビューを上げるインフルエンサーもいました。
HiSmileでは、そのようなネガティブなレビューを無視することなく受けとめ、品質向上の貴重なインプットとして、可能な限り商品改良に反映しています。

当然ながら、様々な試行錯誤を繰り返す必要がありましたが、インフルエンサーの影響力が大きければ大きいほど、たった一人のインフルエンサーがネガティブなレビューを上げるだけで、修復不能と同レベルの打撃を受けることがあります。

それほどインフルエンサー・マーケティングの影響力は大きく、広告効果も強力なため、インフルエンサーに提供する商品は完璧である必要があるのです。

現在、日本国内でも伸長著しいインフルエンサー・マーケティングの検討・改善のヒントとして、参考となることも多いのではないでしょうか。

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マイクロウェーブ コーポレートプランニング本部

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